行者還岳登山

前回(俎板石山)の足慣らし登山に続いて、5月は2度目の山登りとなる行者還岳に登ってきました。奈良県の天川村と上北山村にまたがる、標高1546メートルの山です。隊員3号は去年の同じ時期に単独で登っておりますが(行者還岳・七曜岳を参照)、私とT谷は初めての山。というか、山に登り始めてまだ日の浅い我々にとっては、どの山も初めての山なのですが。

行者還岳はその名の通り、役行者がその険しい山容を見て、一度は引き返したという伝承が残っている山です。ただ、現在は道も整備されており、初心者でも安全に登ることができる工程になっているそうな。ひざや腰、首等に不安のある私やT谷にとっても丁度良い工程だという隊員3号の計らいから、今回はこの山に登ることにしました。

午前7時過ぎ。待ち合わせのコンビニに現れたT谷。前日はどうしても外せない酒の席があったそうで、事前に「ほどほど」にしておいてと伝えていたものの、どうやら二日酔いによる頭痛が少しある様子。まさか、2年前の悪夢が本日も・・・?!

京奈和を走ります。天気はあいにくの曇り空。ただ、雨の心配はないそうな。

途中、コンビニで買い出しを行い、国道370号線から国道309号線へ向かう。やたらと重たそうに走る木材を積んだ前方のトラックと同じペースでまったりと走る。

いつもの道の駅黒滝にてトイレ休憩。まだ9時前にもかかわらずかなりの賑わい。串こんにゃくも売ってたので一瞬迷ったが、今さっき朝食を食べたばかりなので自重。

天川村に入り、川迫(こうせ)川沿いを南下。正面には特徴的な形をした鉄山(てっせん)。

行者還トンネル西口の駐車場。すでにここまで満杯になっています。ほとんどの方が八経ヶ岳や弥山に登る様です。

我々はもう少し先へ。トンネル東口の少し先にある90番ポストの取り付きから行者還岳に登ります。

うねうね309号線。これでもれっきとした国道です。バイクで走ると楽しい道なんですが、車だと大変です。もちろん酔い止めは飲んでますが、それでも気を抜けば一瞬にしてヤられてしまいます。

90番ポストの取り付きに到着。ちなみに大阪南部からここまで、買い出しや休憩の時間を入れて約2時間50分かかります。やっぱり遠い大峰の山々。

取り付き付近の様子。この付近は道幅が広いので結構な台数を駐車することができそうです。

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90番ポストの取り付きから登山開始

午前10時頃に出発。無理せずマイペースで、無事下山を第一にして歩きます。

取り付きの急な階段。まずは足慣らしです。

つづら折れを繰り返して一気に標高を稼ぎます。さっそく息があがってくる!

つづら折れを登り切った所。少し平坦になってきました。トンネル西口よりもこちら側の方が緩やかに登っていけるそうです。

小休止。ひと汗かいて温まってきたメンバー。T谷もAmazonで90円(!?)で購入したというパーカーを脱いで本気モードに。二日酔いの頭痛もすっかり治まって調子が出てきたようです。

よく見ると階段跡が。このまま自然に還っていきそうです。

最初の登りよりかは緩やかですが、それでもずっと登りが続きます。

尾根を少し左に巻いてテクテクと。しっかりと整備されており、非常に歩きやすい道中です。

去年登った大普賢岳がちらちらと見え隠れ。大分と標高を上げてきました。

おぉ!なんか正面にえらい存在感のある大木が!さっそく見学してみます。

この付近を登山する方々にはおなじみとなっている大木(ヒノキ)らしい。存在感はかなりのもの。

よく見ると何本かの大木が重なるようにして生えてます。なかなかにテンションの上がる物件ですが、この後さらにテンションが高まる最高物件に出会います。

タイタン広場の朽車

通称「タイタン広場」と呼ばれているポイントに到着。年式の古いトラックに大木がめり込んでいます。隊員3号の話しでは、以前は完全な形でトラックが残っていたが、この大木の直撃を食らって大破してしまったらしい。何もこんなピンポイントで倒れなくても・・・笑

隊員3号の過去レポートでその存在は知っていましたが、実際見ると興奮しますなぁ。

足元からわさわさと植物が車体を伝い始めています。これからさらに長い年月をかけて、朽車として熟成していくことでしょう。

名残惜しいですが体が冷えてくる前に出発。タイタン広場を後にし、再び行者帰還岳を目指します。尚、完全な形の写真が無いか探してみましたが、以下のHPにて掲載されておりました。

引用元:天ヶ瀬から水太林道、新田林道で東行者環の宿

2007年頃に撮影された画像の様ですが、現在のものと見比べてみるとその破壊具合が良く分かります。でもって、このトラックは一体どこから登ってきたのか?と疑問に思っていたのですが、上記で紹介させてもらった記事より、上北山村の方から林道がここまで続いているそうな。このトラックの最後の仕事は、いったいどんなものだったんでしょうか。

元林道というだけあり、タイタン広場からしばらくは登山道とは思えないような道中になります。

広場から20分程歩くと、大峯奥駈道に合流。この辺りから眺望が急に開けて気持ちの良い稜線歩きとなります。

八経ヶ岳と弥山。

正面(北側)には行者帰岳と大普賢岳。曇ってるのが残念ではありますが、そのおかげか汗を掻きすぎることもなく、快適な山行となりました。

大峰奥駆道の石碑とそれを見るT谷。この付近から道の様相が変化し、少し岩盤地帯が続きます。

白っぽい岩が増えてきました。少し足場の悪い個所もあり。

バイケイソウがあちこちに自生してます。根や茎に毒が含まれているそうで・・・怖っ!でも、ギョウジャニンニクと形が似ているので誤食して中毒になってしまう方も多いそうな。少し調べてみましたが、素人目には同じように見えます。

バイケイソウが群生する地点を通過。ものっそい数です。あくまで誤食によって中毒になるとのことで、皮膚に触ってもまあ大丈夫みたいなのでぐいぐい進みます。

バイケイソウばかりが目立ちますが、道中は他にも色々と花が見れました。なんて花でしょう。名前は分かりませんが、小さくて綺麗でかわいらしい花です。後は、うっかりと写真撮影(動画では撮ってた)を忘れてしまったのですが、シロヤシオがあちこちで満開の花を咲かせていました。

動物たちの水飲み場。鹿の足跡があります。

歩きやすくてなだらかな尾根伝い。太陽は依然として薄雲に隠れている状態ですが、雨の心配はどうやらなさそうで一安心。涼しいので汗もかきすぎず丁度良い塩梅。

この付近のパノラマ。穏やかな尾根伝いです。

行者還岳が正面に見えました!もう少し歩けば昼食ポイントの山小屋に到着です。

旅人の安全を祈るお地蔵さん。

行者還小屋で昼食

午後12時6分、登山口から丁度2時間くらいでしょうか。行者還小屋に到着しました。山小屋の後方に見えている山が行者還岳になります。

行者還岳と山小屋をバックに記念撮影に応じるT谷。

行者還岳と山小屋を観察するT谷。さて、そろそろ腹もいい具合に減ってきましたので昼食にします。

今回はコレ。ちょっと冒険してみました。メキシカンタコス味。

箸が1膳足りなかったので、T谷が自分用にと枝を削って箸を作成。なんか細すぎやしませんかね・・wすぐ折れそう。

まったりとした時間。

大普賢岳に登った際に結局食べなかったカロリーメイトの賞味期限が近かったので食後に一つ食べておきます。

昼食後、少しまったりと休憩した後、12時45分に行者還岳の山頂を目指すべく移動を再開。少し危ないポイントがあるそうなので、気合いを入れて歩きます。

今回の工程で一番注意が必要な場所にさしかかりました。足場の悪い梯子が急な角度で続いています。丁度同じタイミングで、上から降りてこられる方がいましたので、その方々が降りてくるのをしばらく待ちます。

待機している間、付近を観察していると・・・水場を発見。最近雨が降っていなかったためか、水量はほとんどありませんでした。ぽたぽたと滴る程度。それでも、この付近では貴重な水です。

木で作られた梯子をよじ登るT谷。なかなかに安定した足取りであります。

トラロープも備え付けられてます。画像で見るよりも実際はもっと急な感じではありますが、一歩ずつ丁寧に歩いていけば問題はなさそうでした。

先行する二人。ぽろぽろと小さな落石があるため、しばらく待ってから追いかけます。

梯子ポイントをクリア!しかしながら、下りは登りよりも3倍は注意して下る必要がありそうです。

梯子を登り切った先もこれまた急こう配。でも、山頂まではもうちょっとなので頑張って登ります。

大台ケ原方面。うっすらと大台ケ原ドライブウェイが見えます。

行者還岳の頂を踏む!

午後1時27分、行者帰岳の山頂に無事到着!登頂記念に写真に納まるT谷とワタクシ。山頂には三角点と錫杖(しゃくじょう)が地面に刺さっていました。

錫杖から覘く行者還岳の標識。

山頂にはたくさんのシャクナゲが自生していますが。もう見頃は過ぎてしまっていた様子。

山頂の様子。標識と錫杖、その後ろにシャクナゲ。

大普賢岳の方から歩いてきたという方としばらく談笑。昨日は大台ケ原を歩いていたそうな。そういえば我々はまだ二日連続で歩くという経験がありません。次の日筋肉痛になって動けなくなりそう。。

その方に集合写真撮っていただきました!非常に良い写真です笑

山頂の南側。この真下に山小屋があるはずなので撮影しようと思いましたが・・・

うーん・・・だめですね。屋根がぎりぎり見えるくらい。この場所、スットーンと断崖で切れ落ちてる場所なのでこれ以上は寄れません。

下山開始

写真を撮っていただいた方を見送り、それからしばらくして我々も出発。帰路につきます。

大普賢岳を見ながらT谷に山の名前を紹介する隊員3号。余裕があればここからさらに距離を伸ばして七曜岳や大普賢岳へ進むことができます。我々は無理せず、もう帰ります笑

先ほど慎重に登ってきた梯子ゾーンの手前。この付近も結構な勾配なので慎重に下るが、、、

隊員3号が途中で尻もち!(偶然撮れました)登山靴の底がそろそろ減ってきて滑りやすくなってるそうなので、そろそろ買い替えを検討中。この光景を見たT谷。めちゃくちゃ慎重に下ったことは言うまでもありません。

行者還小屋を見学する

山小屋まで戻ってきました。T谷が燃え尽きてるように見えますが、偶然そう写っただけですw先ほどは山小屋の中をじっくりと見学しなかったので、改めて見学。綺麗に手入れされており、20~30人は泊まれるだけの広さもあります。

入口から入って左側には流しがあります。水の飲用は不可とありました。管理人室というのもありましたが、鍵がかかっており中に入ることはできません。

流しの様子。綺麗に掃除されています。(水が出るかは確認しませんでした。)

入口真正面にある部屋。吹き抜けになっています。10人くらいは寝れそうです。

梯子付きの2階部分。靴を脱ぐのが面倒だったのでどんなものかは見ていません。

1階部分。銀マットに毛布も備え付けられています。これなら十分に快適な睡眠がとれそう。

後、撮り忘れましたがトイレもあります(2か所)。紙の有無までは確認しませんでしたが、もちろんトイレットペーパーは持参しましょう。

現在の行者還小屋は平成15年頃に建て替えられたものだそうです。それ以前の山小屋の様子が掲載された貴重な記事を一つ紹介しておきます。

外部リンク:(旧)行者還小屋

現在の山小屋が建築中の写真も掲載されています。貴重な記録だと思いますので、当ブログでも紹介させていただきました。

山小屋を見学した後、あとは無事下山するのみ。先ほど歩いた道をどんどんと下っていきます。T谷、やはり下りは膝に痛みが出る様子。私も最近は膝の不調がありましたが、今日は調子が良いです。新調した「SALOMON X ULTRA MID2」がかなりいいカンジ。グリップ力が強く、がっちりと地面を掴んでくれます。

休憩を適度に挟みつつ、満開のシロヤシオの花を見ながらまったり下山。

大峯奥駈道から90番ポストまでの長い下りをマイペースに歩く。いやーこの靴、滑らないねぇ(大泉洋風に)。

大普賢岳のビューポイントにて。結局、本日は一度も青空を見ることはありませんでした。

タイタン広場で3時のおやつ。特に急ぐ必要もないので適当にダベりながら下山しました。

帰りにもう一度、例の大木を見る。大分前に見た、十津川村の玉木神社周辺に生えている杉の木も凄い!と思いましたが、この檜の大木も見事なものです。

15時52分に無事下山。着替え&ストレッチを行い、大阪への帰路につきます。ここからまた2時間50分。行きも帰りも運転まかせっきりの隊員3号、お疲れ様でした。


今回の工程です。スタート地点からのログがちゃんと取れておらず、山頂付近のログも飛んでしまってますが、往復で約7kmの工程でした。全体的に整備が行き届いており、快適に歩くことができました。危険な個所も山頂手前の梯子&階段くらいで、他に危険なポイントもありません。看板類もしっかりしているので迷うこともなさそうです。

今回は丁度シロヤシオの花が見ごろの時期だったようで、あちこちで真っ白な花を見かけました。去年にほぼ同じ時期に登った隊員3号の話しでは、去年はここまで沢山の花は見れなかったそうです。今年は時期的にもドンピシャだったのかもしれませんね。

シャクナゲはほぼ終わりという感じでしたが、若干見頃の花が残っていました。この山は花と新緑の綺麗な5月が、一番登るに良い時期だそうで。暑くも寒くもなく、本当に快適な山行でありました。次回、同様の時期にこの付近を登る機会があれば、頑張って七曜岳まで足を延ばしてみるのもいいかもしれませんね。

おまけ:吊り橋と綺麗な渓流

帰宅途中に発見した釣り橋。大川口の橋の手間付近にありました。せっかくなので見学することに。

登山ボックスを発見。この付近から登れる山が沢山ありますが、バリエーションルートがメインなので危険な個所も多いそうな。

あ、残念・・・渡ろうと思いましたが修理中?でバリケードがされていました。

全然渡れそうな感じですが、付近にあった看板によればワイヤーが外れている箇所があると。それは危ない。シェルパーズの掟に従い、これ以上の散策は中止に。

抜群に透き通った水。川迫川の最上流付近と思われます。

西側を向いて。この山を越えた先に、滝100選の中で最も到達難易度が高いといわれている「双門の滝」があります。とてもじゃないですが我々が行けるような場所ではありません。

帰りはもちろんザ・トンネルで・・・といく予定でしたが、3人ともあまり腹が減ってなかったのでスルーしました。食べたいときは終了していて、時間が早い時は特に食べたくないという・・タイミングですね。何事も。

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